ビジネス書レビュー

【レビュー】『元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法』(ジャック・シェーファー著)

 

「上司に評価されたい!」

「子供が親の言うことを聞かない・・・」

 

人生において、他の人との関わり合いは避けてとおれません。

良いように使われるか、使う側になるか。

これは他人との関係に限らず、家族との関係にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 

そう考えると、相手の行動をある程度操る術を知っているということは非常に大きな武器になるのは間違いありません。

 

そこでおすすめなのが『元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法』

 

 

私は今まで、心理学やコミュニケーションに関するビジネス書を何冊か読んできましたが、この本が一番具体的なテクニックや事例について多く記載されていました

 

本書のタイトルのとおり、著者は元FBI捜査官として、敵国の外交官を自国のスパイに寝返らせたり、凶悪犯やテロリストから自白や情報を引き出したりと、私たちとは次元の違うレベルで本書に書かれているテクニックを駆使していましたが、これらは日常でも使えるし、難しいものでもないんです。

 

本書の冒頭でズバリ書かれている通り、相手を意のままに動かすために必要なことは、自分を好きになってもらい、信頼されること

 

そのために必要な具体的なテクニックをほんの一部ですがご紹介します。

 

どんな場面でも使えるテクニック

 

  • 相手に話をさせる(自分は聞き手に徹する)
  • 共感を伝える言葉をかける(相手のことを気にかけているように思わせるような声掛けをする(「お疲れのようですね」「嬉しそうですね、何かあったんですか?」等))
  • 「好意」を伝えるジェスチャーを心がける(眉をそっと上げる、首を傾ける、1秒以内のアイコンタクト(それ以上は逆効果の恐れあり)、ミラーリング(相手の身振り手振りを真似ること))
  • 相手の名前を覚えて、名前で呼びかける
  • 返報性の法則(何か親切にされると、同等以上の親切を返したくなる人間の本能)をうまく利用し、ちょっとした気遣いをしたり優しい言葉をかけたりする。

 

 

いくつかありますが、共通しているのは相手にポジティブな気持ちになってもらうように働きかけるということ

名前で呼んでもらえて嬉しくない人はいないですよね。プラスであれマイナスであれ、自分の今の気持ちに共感してもらえたら、正直コロッと相手に好意をイア抱いてしまいそう(笑)

主に職場で活用できるテクニック

 

  • 多数に向けてのプレゼンの場合、興味のなさそうな人を見極め、その人に対して一対一で接しているような話し方をする
  • ちょっとしたお願い事をする
  • 企画を通したい時、「正しい/間違い」を真正面から主張するではなく、「この企画についてアドバイスください」と助言を求めるアプローチをとる

 

「ちょっとしたお願い事をする」というのは意外でした。

ですが言われてみると少し納得。

私も、周りの人から頼られるとまんざらでもないし、ちょっと嬉しくなる。

 

職場でのテクニックの共通点は、【相手の自尊心をくすぐる】なのかもしれません。

 

主に恋愛で活用できるテクニック

 

  • 偶然を装い手に触れる
  • 食事の際、料理をシェアする
  • 運動中の出会いを模索する(ジムやウォーキング、スポーツ大会など)運動中に放出されるエンドルフィンは幸福感を感じさせるので、その時に一緒だった人に対して好意を抱きやすい
  • 一緒に恐ろしい体験をする(お化け屋敷や絶叫系アクティブティ)。いわゆる吊り橋効果
  • 最初から好印象のカップルより、出会いはイマイチでもその後時間をかけて絆を築く方が、結果的に親密になれる

 

 

興味深いのは、運動中に出されるホルモンが幸福を感じさせるということ。

確かに、運動は身体のみでなくメンタル面でも大きなメリットがあることはもはや常識になっています。

 

RIO
RIO
それを恋愛にも活用できるとは意外でしたが(笑)

 

家庭や子育てで活用できるテクニック

 

  • 禁止されると、余計にやりたくなってしまう。子供には「ダメ」というのではなく、「どういう判断(行動)がベストだと思う?」と尋ねて、自ら考え判断させる。

 

これは以前読んだ別の本にも書いてありました。

治安のあまり良くない地区の学校で口酸っぱく「喫煙してはダメだ」といっても未成年者の喫煙者数は減らなかったけれども、喫煙による弊害などをまとめた動画を見せた後に、「ではあなたはこの動画を見て、今後どのような行動をしますか?」と決断を委ねられると、ガクッと喫煙率が下がったそう。

 

特に子供にとっては、親や先生の言っていることが正しいと理論的には理解していても、行動や思考を強制されたと思うと反発したくなるもの。

 

最終的な決断は本人にさせつつ、うまくその決断を誘導するのがいい親・先生なのかもしれません。

まとめ

 

「他人を自分の思惑どおりに動いてもらう」って聞くとネガティブに感じるかもしれません。ですが、あなたが学生の立場でも社会人でも親でもどんな立場であっても、少なからず他人との関わりは必ずあり、そこで極力争いを避けて気持ちいいコミュニケーションができるテクニックを身につけることは、必ず武器になると思います。

 

ここで紹介したことも含め、本書で説明されているテクニックは誰にでも使えそうなものばかり。かといって、いきなりコミュニケーションに全てを応用するのはもちろん難しいですので、1つずつ意識的に使うことで身につけていけるといいですね。