子育てに関する疑問に対する、経済学的観点からの指針
私自身、母親になってまだ数週間のヒヨッコ。
ココちゃんのお世話でつまづくことがあるたびにGoogle検索に頼っています。
ウェブ上には子育てに関する疑問で溢れかえっていて、世間のお母さん・お父さんが、私と同じように、苦労や不安な気持ちを抱えながら日々子育てに奮闘していることが伺えます。
私のような駆け出しのパパ・ママさんたちにおすすめしたいのが、今回ご紹介する『米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子供の育て方ベスト』という本です。
『米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト』はどんな本?
☆『NYタイムズ』ベストセラー!世界・超話題の育児書、日本上陸!
☆「親にとってベスト」×「子どもにとってベスト」が詰まった、世界で最も詳しくて役に立つ子育て全書!
☆「0歳」から「就学」までの子育て最新情報を超集約。類を見ない、すべてに科学的根拠を求めた圧倒的に使える内容!
経済学者の両親のもとに生まれ、ハーバード大で統計学を学び、ブラウン大で経済学部教授を務める医療経済学者が子育てに関する異例の数の「研究」にあたり、2児の母としての「実経験」から本当に使える情報を厳選!
学力 / 言葉の早い遅い / 寝かしつけ / トイレトレーニング/歩き始めの時期 / テレビの良い・悪い / 好き嫌い / 子どもの健康/共働きの影響 / 夫婦関係 / 産後のママ / 予防接種 etc.
Q.赤ちゃんはどうすれば「ぐっすり寝る」の?
Q.「オムツを外す」いい方法は?
Q.「テレビ」は見せて大丈夫?
Q.「早期教育」に意味はある? など
親が知っておくべきこと「全部」を1冊に凝縮!
経済学者としてベスト×親としてベスト×子どもにとってベスト!
Amazon作品紹介ページより引用
別記事で紹介した、妊娠・出産にまつわる諸説について経済学・統計学の観点から検証した本、『お医者さんは教えてくれない妊娠・出産の常識ウソ・ホント』の著者が、今度は出産・子育てについて分析した一冊。
▼妊娠中の方にはコチラがおすすめ▼
『お医者さんは教えてくれない妊娠・出産の常識ウソ・ホント』
こんなアナタにおすすめ!
本書は、主に出産直後から1歳までの子育てに関して親として悩んだり選択を迫られる疑問について、客観的なエビデンスを基にどのような判断をすべきかの指針を示しています。
そのため、
- 妊娠中の人、妊娠中のパートナーを持つ人
- 出産を終えたばかりの新米ママ&パパ
に特におすすめ!
前作と同様、書籍内では客観的事実を示しているに過ぎないため、各自の生活習慣や思想、優先順位を基に、自分なりの判断をしていくことが求められる点に注意が必要です。
私が特に興味を持った内容をご紹介
本書では、全21章にわたり出産直後から4〜5歳までの子育てにまつわる疑問を取り上げています。
母乳育児神話は本当か?
母乳で育てることが赤ちゃんにとって良いことというイメージはありますが、
- 具体的にどのような良い効果があるのか?
- 裏付けされたデータがあるのか?
という点をきちんと理解している人は少数派ではないでしょうか。
一般的に母乳育児のメリットとして、高IQ/肥満リスク低減/ミルクより経済的/痩せやすい、といった点が多く挙げられています。
ただし、これらを客観的に分析すると必ずしも一般的に言われている内容が正しいとは言えない、と本書では述べられています。
例えば「母乳育児をするとカロリーを多く消費するので痩せやすい」という点について、本書では以下のように冷静に分析しています。
(略)授乳中の女性はもっと食べる傾向がある。カロリー消費はダイエット戦略として効果的だが、消費分を超える量のカロリーを摂取しないことがその大前提だ。(本書P170)
★母乳育児には、乳がんリスク低減など一定のメリットは認められる。
★だが、子供の高IQ・ダイエット効果などはエビデンスに乏しい。
★様々な事情で母乳育児が出来ない場合でも、子供に大きな影響はないので気に病む必要はない!
赤ちゃんをどこで寝かせるべきか?
赤ちゃんの寝る場所は、SIDS(乳幼児突然死症候群)防止のためにも慎重に検討すべき点だと本書では述べられています。
SIDS予防のために医学上推奨されているのは、次の4つだ。
(1)仰向け寝
(2)ベッドでひとり寝
(3)両親と同室
(4)赤ちゃんのまわりに柔らかいものを置かない ※本書220ページより引用
日本では親子が川の字になって一緒に寝ることは珍しくないと思いますが、統計上は親と同じベッドで寝ている場合の方が、別のベッドで寝る場合に比べてSIDS死亡率が高いことが裏付けされています。
同じベッドで寝る場合でも、両親が喫煙・飲酒しているとその死亡率がかなり高まることも指摘されており、家庭の事情からどうしても赤ちゃんを同じベッドで寝かせる必要がある場合には両親は喫煙・飲酒しないなど、リスクを取り除く行動が大切だと分かります。
また、両親と同じベッドで寝かせる以上に危険な寝かせ方として挙げられているのはソファで眠ること。死亡率は基準値から20〜60倍高くなるため、絶対に避けなければならない寝方だと言えます。
★赤ちゃんが親と同じベッドで寝るとSIDSのリスクが多少上がるものの、工夫次第でそのリスクを低減することができる。
★赤ちゃんとソファで眠る(寝落ちしちゃう)ことは、大変危険!!
専業主婦VS働くママ
専業主婦vs働くママの論争は、全てのママの最大の関心事の1つでしょう。
「子供が小さいうちから保育園に預けるなんて、成長を見れずにかわいそう。」
「家で子供の世話だけするなんて、社会の役に立っていない気がする。」
それぞれメリット・デメリットがあり、正解のない難しい問題だと思います。
本書では、親が取得した育休の期間の長さが子供の学校の成績・成人してからの収入など何らか影響を与えたかを分析した研究が紹介されていますが、なんの影響もないと結論づけられています。
そのため、専業主婦として家庭に専念すべきか職場復帰して働きながら子育てするかどうかは、本人や家庭の方針・事情・考え方に従って決めるべきことであり、他人がとやかく口を出すべきことではないということが言えます。
日本では働くママは増加傾向にあり、2018年には7割を突破したとのこと。
(参考)働くママ、初の7割超え – 17年の国民生活基礎調査
私自身も、早期の復職を目指しています。
もちろん共働きの方が金銭的にも余裕ができて子供にとっても選択肢が増えるというのが大きな理由の一つではありますが、仕事が好きですし、同僚も家族とはまた違った心地よさがあって、私自身の人生に仕事は欠かせません。
★専業主婦なのか働くママなのかの選択によって子供の将来に何らかの影響を与えることは一切ない。
★純粋に家庭や個人の事情・考え方で決めるべきことで、他人が口を出すべきではない!
テレビの視聴は子供の教育に悪い?
テレビばかり見ている子供は学校の成績が良くない、と何となくイメージする人は少なくないのではないでしょうか?私もその1人で、ココちゃんの子育てにはテレビとの付き合い方に気をつけないと…と妊娠中から思っていました。
でも実際のところ、本当にテレビは子供の教育に悪影響を及ぼすのでしょうか。
答えは「イエス」。
子供とテレビ視聴との関係に関する研究は数多くあり、本書でもいくつか紹介されています。
- 2001年の研究により、テレビ視聴時間の長い女児の方が肥満が多く見られた。
- 2005年の論文により、3歳未満でテレビ視聴時間が長いと、学力が低下する。
テレビ視聴はデメリットばかりではなく、メリットがあることを忘れてはなりません。
アメリカの研究では、早くから「セサミストリート」を視聴していた子供は、学校で勉強が遅れるケースが少なかったとされています。また別の研究では、3〜5歳の子供はテレビから単語を学習することができることを示しています。
2009年の論文によると、子供の語彙力を伸ばす効果のあるDVDを子供に視聴させた場合でも、視聴しない子供との大きな語彙力の差は認められなかったとのこと。
この研究では、子供が話す単語数と語彙の増加速度に最も影響するのは、親が本を読み聞かせたかどうかだと指摘している、と述べられています。
つまり、子供のテレビからの一定の学習効果は認められつつも、最も効果的な手法ではないことに注意が必要です。
★0〜2歳の子供にテレビを見せるメリットはあまりない。
★3歳〜5歳くらいの子供であれば、テレビ番組から単語などを学習することができるという一定のメリットがある。
★ただし、語彙力や単語数を増やすことを目的とする場合はテレビを見せるより本を読み聞かせたほうが効果が高い。
まとめ
本書で取り上げられている疑問や問題についても、研究や論文によって客観的な事実は示されているものの、最終的には自分の価値観や生活スタイルを考慮して自ら決めていかなければなりません。
子育ては選択・決断の連続…
そうした時に、ネット上の情報だけではなく客観的な事実を知っていると、より良い結果に結びつくのではないでしょうか。